古きを知って新しきを知る

昨日は、創立大正5年という老舗の塗装会社へ訪問致しました。
大正5年に何があったかというと、第一次世界大戦
当時大阪城の屋根瓦や天守閣に飾ってある虎の置物の塗装を手がけられていたそうです。事務所内には、創始者である曾お爺さまの写真が飾られてありましたが、まるで社会科の教科書の様でした。


そして出てきた当時のサンプル帳。
歴史を感じます。

社長も、当時これがどのような技術でやっていたのかわからないそうです。
今、再現するのも結構難しいんだとか。
今だったら、設備も材料も充実してるし、簡単に再現できそう〜。なんて思いますが、やはり伝統技術。そんな簡単なもんではないそうです。


創業当時は、塗装屋ではなく「いぶし屋」と言ったそうで。
いぶし屋ってナニ?? と言いますと・・・
「いぼた蝋」という伝統手法だそうですが、いぼた虫を燻して出る分泌液を集めてできた蝋で家具や木工製品などに艶出しをするのだそうです。現代でいうと、クリアコーティングといったところでしょうか。


へっえ〜・・・
昔はそんな事してたんだぁ。。


それから事業は発展し、塗装屋に至ったそうです。
現在の社長様は4代目。とてもお若く、子供の頃から工場に入っていたそうです。お父様の背中を見ながら、自然に自分もその道を歩むのだと思うようになったのだとか。
面白かったのは、高校生から工場でバイトをし、大学に進学してからは、取引先とのやり取りも増え、卒業旅行や遊びどころではなかったそうです。4回生の時には授業中に取引先から電話が入ったりする事も。



それ、もう学生ちゃいますやん(笑)



社長いわく、塗装の技術なんて基礎は何も難しくない。
いかに探究心をもって、経験を重ねるか。マニュアル通りのやり方だけでなく、時にタブーを起こしてみる。そういった時に新しい発見があったり、面白い結果になったりするんだそうです。

現在は、店舗の内装、インテリアなどを手がけておられるそうです。またご自身でも作品作りをするなど、本当に「塗装」を通してのものづくりが好き!なクリエイター社長でした。
こうして伝統を大切にし、技術を身につけ新しく切り拓く。
私も、なぜこの道を選んだのか、どうしてこの仕事をしているのか、原点を振り返る機会となりました。